自然観察指導員になっちゃった!!
ドキドキワクワクの1日目

★1日目:集合
 宿泊はユースホテルだ。受付を行うと、参加者名簿と、自己紹介カードを渡される。静岡県はまんま一人だ。さすがに関東圏が多い。一番遠いのは京都の人だった。まんまは8号室で、5人部屋だった。まだ、誰が同じ部屋かもわからない状況だった。自己紹介カードには、名前、連絡先、自己アピールが書かれたいた。たった3日間の間に60名程の人と交流することになる。このような自己紹介カードがあるとありがたい。
開校式は簡単な挨拶と講師の紹介で終わり、早速野外講習となった。

スケッチ ★1日目:野外観察
 まず、自然観察とはどうゆうことかということで「見る」と「観る」の違いから始まった。なにげなく「見る」のではなく、じっくり「観る」のが自然観察ということだ。みなさんは自然観察を記録するのに「写真撮影」とスケッチのどちらを行いますか?近年、デジカメも復旧し、誰でも正確に、お手軽に、しかも安く、写真を撮ることができ、デジカメで写真を撮って後からみればいいと思う方が多いかと思う。しかし、この講習会ではスケッチの重要性を教えてくれた。それは、記録したことと、観察していることは違うということだ。スケッチをするには、じっくり「観る」必要がある。また、五感を使った情報を記入することができる。たとえば、見えなくても、鳥の鳴き声が聞こえればどこかに鳥がいることがわかる。スケッチブックに、鳴き声を記述してもよいし、その鳥の名前がわかれば、名前を記述してもよい。スケッチは観察に適したアイテムだ。

 野外観察は、約20人毎の3つのグループに分かれて野外観察をおこなった。私のグループの講師はわざわざ熊本から千葉まで来られた田畑さん。田畑さんはいつもとても楽しそうに話しをしてくれる。しかも、誉めるのがとてもうまい。一緒にいるだけで、こちらもたのしくなる不思議な人だ。田畑さんは観察の仕方を教えてくれる。森を観察するにも、遠くから観る場合と、森の中に入って観る場合で観察の内容が違ってくる。また、観察のポイントとして、森の中と端の違いも例に上がった。ここで、スケッチが登場する。スケッチブックの1ページ左半分に森の中、右半分に森の端をスケッチする。今まで、何も感じなかったが、よく「観てみる」と森の中と端はまったく違う。森の端は植物間の競争は無いが、風よけが無い、そのため、植物は大きく育つが、傷つきやすい。逆に森の中は、植物間の競争が激しく大きく育ちにくいが、強風にさらされることもない。たかが数mで環境は劇的に変化する。自然観察するとは森でも、川でも、海でも、端を観察するのがよい。環境が変化するということはその変化に対応して動植物も変化するということだ。その結果、多様な動植物が観察できという訳だ。
森に座る
 次は、森の中に寝転んで、視点の変化による違い、また、匂いについての観察が始まった。冬の広葉樹の枝を寝転んで見上げると、面白いことに、枝の重なりが無いのだ。しかも、枝と枝の間に隙間が必ずある。これは、風が吹いて枝(葉)がぶつかり合うためではないだろうか?今度は、座り込み、落ち葉を一枚一枚めくって見る。この地面も端だ。落ち葉をめくるたびに、葉は分解され変化していく。落ち葉をめくる前の匂いと、落ち葉をすべてめくり終えた後に出てくる土では匂いが違う。落ち葉〜土までは15cm程度しかないにもかかわらず変化しているのだ。また、自然を大切にすることも教えてくれる。一枚一枚どけた落ち葉を順序よく元に戻していく。自然観察だからと言って、草花を根こそぎとったり、あちこち掘り返したままにするのはもってのほかだ。

 このこの野外自習でいいことは、講師がただ一方的に話すのではなく、なるべく参加者に体験してもらい、意見を言ってもらいうようししていることだ。五感で「観る」ということがどうゆうことなのかよくわかる。動植物の名前を覚えるだけが自然観察では無いのだ。
最後に、一番始めに森を見た位置に戻ってみる。「どうですか?2時間前に比べ、森が違って見えますか?森は当然変わってないですよね。でも、この2時間で皆さんがかわったのではないでしょうか?」みんなうんうんとうなずいていた。このころになるとみんな「ああ、ここにきて良かったなぁ」と実感していた。こうして楽しい楽しい2時間半の最初の野外観察は終了した。

★1日目:講義「自然の保護を考えよう」
・今なぜ自然保護が必要か
・何を保護するのか
・自然保護の歴史と概念
・日本の自然保護の現状
・自然保護のために
 宿舎に戻ると、始めて同室の面々と顔を合わせた。今回の参加者は予想通り中高年の方が多かったが、同室は同年代だった。話しも盛り上がり外でも、部屋でも楽しい一時を過ごすことができた。簡単な自己紹介をし、夕食をすませ、お風呂に入り19:00より講義「自然の保護を考えよう」が始まった。
講義の講師は溝口さんだ。溝口さんは福島で獣医をやっている。一見怖そうにも見えるのだが、まったくそんなことありませんでした。
ここでは、NACS-Jの歴史と自然観察指導員制度が作られた経過と目的の説明がありました。自然保護と自然観察会のつながりがよくわからなかったのですが、
  開発問題の発生→周辺住民の無関心→観察会→地域の自然の大切さに気づいてもらう
というストーリーを描いています。確かに、ニュースや新聞で自然保護といわれてもふーんで終わってしまうことが多いのですが、自然観察会でいろいろ実体験していくと自然のすごさ、楽しさ、大切さが伝わってきます。
 一番印象に残っているのは、ある小学校で「自然観察ということでリーフ作りをしたい。しかし、どんぐり、まつぼっくり等を取って来ていいか悩んでいる」という相談を受けたときどうしたかという話しでした。これに対して自然観察会はすばらしい解答を持っていました。
 森に子供たちを連れて行き、まつぼっくりやどんぐりの木の赤ちゃんを探そうとみんなに言う。ただ、取ってしまうのはかわいそうなので、観つけたら旗を立てることとする。子供たちは一生懸命探し、あちこちに旗がたつ。今度は、赤ちゃんならお母さんがいるはずだよねと、お母さん探しをする。でも、いくら探しても見つからない。(わざと周りに無い場所を選んでいる)そこで、どんぐりころころどんぐりこの歌から、きっとどんぐりが転がってきたんだということで、どんぐりを転がしてみる。しかし、ぜんぜん転がらない。赤ちゃんはいったいどこから来たの?じゃ、どこからどんぐりがくるかじっと待ってみよう!!運もあるかもしれないが、口のなかにどんぐりをほおばったリスが現れる。リスが運んでいるんだ!!そこで紙芝居が登場する。リスはどんぐりを口の中いっぱいにほおばっている。でも、10個口の中にいれても、一度に全部食べられないから、土の中に隠しておく。そのうち、7個はリスが食べちゃう。でも、2つは野ねずみにあげて、1つは食べないで、どんぐりの赤ちゃんになるんだ。と説明する。
この一連の流れから、子供たちは、どんぐりやまつぼっくりを取っちゃだめなんだと自ら考える。大人はどんぐりやまつぼっくりを取ってはいけないと説明する必要はまったく無いのだ。溝口さんは冗談交じりで楽しく話しをしくれるのだが、この最後の結論を話しているときはみんな聞き入っていた。

★1日目:懇親会
 予定がちょっと遅れ、講義は22時過ぎに終わった。その後は懇親会(単なる飲み会)だ。懇親会は自由参加なのだが、当然のように全員参加だ。自然観察をする人は仙人のような人かと思っていたが、みんな酒飲みだ。ホールアースでもそんな話しがあった。たらふく飲み、酔っぱらいもちらほらいたが、あちこちで自然観察会の話題が聞こえてくる。みんな次の日がとても待ち遠しいようだった。

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